茜の空




バイクに向かいながら、
現実に引き戻されていく気がした。



やっぱり私は教師で、君は生徒なんだって事実を目の前に叩きつけられる。



相変わらず腰まで掴まされてバイクは走り出す。



背中に横顔つけて、ギュッと抱きしめた。



言葉に出来ない、もどかしい気持ち。
どこにぶつけていいのかわからずに……。



帰り道では、会話らしい会話はなかった。



迫り来るタイムリミットに切なさが募る。



それは君も同じなのかな。



朝、待ち合わせした公園にたどり着いたら降りなきゃいけない。



ヘルメット脱いで、返さなきゃ。



今日はありがとう、楽しかった。
また学校でねって笑顔で言うの。



言えるかな?
泣いたりして、カッコ悪くなんないよね…?



そしたらまたキスされちゃうよ。
君なら間違いなくね…。



それでまた私は許しちゃうの…?