呆れて物も言えなかった。


ただでさえ財政が厳しい時だというのに、国は二十兆もの予算を使って夏の猛暑を演出し、国民はその暑さを凌ぐ為に膨大な電力を消費していたのだ。


なんてもったいない話だ!


『もったいないお化け』が何匹出てくると思ってるんだ!まったく!



「しかし、早く気が付いて何よりでした!これで今年の夏の電力不足は、何とか解消出来そうな見込みがついて来ました」


夏の気温が15℃下がれば、エアコンによる電力需要の増加は無い。


私は、もうこれ以上幹事長と話す事もあるまいと、回れ右をして幹事長室のドアノブに手を掛けた。


その私の背中越しに、幹事長がぼそりと呟く。



「海の家はどうするのかな?」


私は、振り返らずに答える。


「就業補償でもすれば良いでしょう」


「『TUBE』は何を歌ったら良いのだろう?」


「新曲作れば良いでしょう!」


「じゃあ、冷やし中華はいつ始めれば良いのか……」


「知るかっ!」



バタン!!