駅で立ち止まった後、西日の眩しい夕暮れを見つめながら、時計台の脇のベンチに腰掛け、俺はそんなコトを思い出していた。



あれから年は明け、また夏の時期が近づいてきたんだ。
いつもと変わらない日常の中で、俺は今も毎日を過ごしている。


俺の部屋の中にある棚の上にはまだ、ユカからもらった写真立ての中に、俺の誕生日に、笑顔で顔をくっつけあっている二人の写真があった。
ユカがいなくなった時に、それを燃やそうとしたけれど、俺には燃やすコトはできなかった…。

窓際には、あの頃から変わらずキレイな鉢植えが置いてある。
あの店長さんに勧められて、ユカの居た花屋で季節に合った花を買い、今でも花は飾るコトにしている。


あれからいろいろと考えたけれど、まだ俺の中では、答えらしい答えは見つかっていない。
ユカはあっちで元気にしているんだろーか…。



俺は、まだ恋愛をするコトが出来ないでいた。


俺の瞳に見える、この時計台からの夕暮れは、キレイなはずなのになぜか、いつも悲しく見えた。