夏が近付いてきた今ぐらいの一年前…。





いつものようにバイトを終えて川沿いの脇道を抜け、駅の時計台が見える坂道を歩く。駅を通るまであと少し。今日も風が気持ち良くて、長い長い坂道なのに全然疲れを感じさせない。


駅に着いた。時間は17時2分前。ついさっき電車がきたばっかだから人が多いな…。

「…っ!?」

と、ふいに肩がぶつかった。
女の子だった。

「ごめんなさぃ…」
「あっ、ぃや……」

…カワイイ。栗色のセミロングがサラサラしてて、小柄で目がクリクリしてる。
彼女は、周りをキョロキョロしながらなんか探してる。声かけようかなぁ?…と考えている内にすでに俺は声をかけていた。

「…ねぇ!…どうしたの?」