「あ、すいません。」
なんであたしが謝ってんだ……
「…まぁ、せっかくだし色々見てまわるか。」
やっぱりそうなりますか。
「何か食べたいものある?」
「…じゃあ、リンゴ飴。」
「ん、じゃあ行くか。」
そう言って、さりげなく手をひかれた。
意外と、嫌ではないと思う自分がいる。
先輩は不意にこう言った。
「…浴衣、似合ってんじゃん。」
「……えっ?」
あたしは聞き間違いかと思い、聞きかえした。
でも先輩は、そのまま何も言わずただあたしの手をひいた。
そして、あたしはまた遊園地の時みたいな気持ちになった。

