あたしは青森のときとは違い、東京へ来てからは、お金に困ることはなかった。

だけど、それ以上に失うものが大きかった。

見知らぬ人との汚らわしいベットの上に投げ入れられるお札。

そのカサカサした、いや、ざらついた汚い紙切れに頬を寄せても、何も満たされることはなかった。

あるのは、全く先が見えない絶望感だけ。

今のこの感情ですら、もう薄らいでくる。

あたしには何があるの?

あたしには何が残っているの?

もう答えを見つけ出す気力も……