『箒星の組み紐』

「おかんな、俺、東京へ行くけど、貯金も五十万ちょっとやし、多分、住む部屋も狭いと思うけど、オヤジに耐えられなくなって辛くなったら、いつでも東京へ来てもええで」

「ホンマ嬉しいわ……ありがとう」

相変わらず、オヤジは怒鳴り散らかしている。

数時間前の俺のように汚い言葉で脳が汚染されているんだと、その時、俺は思った。

「おかん、ちょっと来てくれる? すげえ綺麗なものが見えるねん」

俺は戸惑いの表情を浮かべたおかんの手を優しく引っ張り、玄関のドアを開け、光り輝くオーロラに向け、一直線に人差し指を指し示した。

「これって何? こんなの見たことないわ……」