今年で結婚35周年、ワシのお腹周りは二十代の頃と比べると、

まるで浮き輪をはめ込んでいるような体型になってしまった。

女房は肝臓を悪くして今は寝たきり状態。

女房の介護の毎日。

そんな毎日だからワシの性欲の捌け口すら失われたはずであった。

しかし、三宮のスナックのママと
親密な大人の付き合いをするようになってからは、
日頃の身嗜みにも気を使うようになってきた。

スナックのママである綾子とホテルに行くことが、
どれだけワシの生き甲斐になっていることだろうか。

近所のドラックストアで精力剤を買ってから、
綾子と夜をともにする。

いつも刺激的な逢引き。

五十五を過ぎてもワシの性への探究心はとどまることを知らない。

確かに女房には悪いとは思っている。

しかしだ。ワシは一人の男であり、まだまだ枯れたくないのだ。

女房にバレなければ、それでいいと思っていた。

だが、案の定、いつかは不倫はバレる運命なのだ。

よくあることだが、愛人が暴露する。もちろん、妻に。

女房はここ最近、ヒステリックに喚き散らして、

「あんたとは離婚するわ」

の一点張り。

本当はこの先、四十年、五十年、
同じお墓に入るまでと思っていたのだが、
こんな状態になってしまったからには、もう遅いのだろう……

我々は新年早々離婚するのだろうか……