『箒星の組み紐』

「終電もあるので」

「2、3分でもいいです」

「あ、はい」

目の前の女性は目を軽く細めながら優しく西村に微笑んだ。

西村は思わず右手の拳を硬く握り、その拳をおもいっきり後ろに引いた。

「今まで生きていた中でこの日が一番嬉しいです」

自分の意思で出た言葉なのに、言った本人が一番驚いている。

その後、自然に深々とお辞儀をしていた。

今日の俺は一体、どうなっているんだ? これがクリスマスという奇跡の魔法なのか?