『箒星の組み紐』

「もしかして、あたしとお話……ですか?」

目の前の女性が微笑んだ。

「えっ、あの、いや、そういう、つもり、いや、お仕事の後でいいんで、宜しくお願いします」

「あの、終わるのは遅いですよ」

「翌朝でも待ちます。お願いします」

「えっ、は、はい」

西村は自分の耳を疑った。

「いいんですか? 本当にいいんですか?」

「あっ、はい」

「ありがとうございます! 本当にありがとうございます。めちゃくちゃありがとうございます」

「はい、あの……」

「あっ、そうでした。す、すみません。お仕事中にお邪魔してしまって」

「11時ごろなんですけど」

「待ちます、待ちます」