俺はクリスマス・イブに一人梅田でお酒を飲む。あー寂しいなあ。寂しい、寂しい。

別に梅田じゃなくても、近くの塚本や十三の居酒屋で飲み歩いてもええんやけど、今日はここで熱々カップルを眺めながら深酔い酒でもしますか。

西村恭平はいつものようにぼそぼそと愚痴を溢しながら、梅田の街を歩いていた。

ふと西村の視線が止まった。

ほんの5秒かもしれない。

クリスマス雰囲気が漂うイルミネーションで彩られたカラフルな街路樹。

行き交う男女のカップルの女性は、ちらちらと相手の男性の目元を確認するように微笑み、その男性も口元を軽く綻ばせながらアイコンタクトを取る。その流れが淀むその場所に西村は、しばらくじっと立ち止まっていた。