水嶋はJR線に向かう三宮の歩道橋の上からオーロラを見ている。

すっかり辺りも薄暗くなり二号線で白い糸を引くヘッドライトが、
ビルの隙間を縫うように慌しく流れていた。

「きれいなオーロラ」

水嶋は思わず大きい声で言った後、自分の右手の掌で口を塞いだ。

『あっ、あれは大人には見えないんだった』

一瞬、歩道橋を行き来する大人の一人が水嶋に目を遣ったが、
また変わらぬ慌しい人の流れになっている。