『箒星の組み紐』

その様子を力也の母親は、病室のドアの横でそっと見守るように聴いていた。

薄っすらと溜まった涙を落とさないようにハンカチで目頭を押えながら。

『力也も知らず知らずの間に大人になっているのね。少し寂しいような、嬉しいような……あんなに優しい女の子のお友達ができて力也は本当に幸せ者だわ』

「もうそろそろ暗くなってきたし、もう帰るね」

水嶋は少し寂しげな表情でベットの隅に目線を置く。

「ちょっと持って!」

とっさに力也は水嶋の手を強く掴んだ。