砂埃が口に入って苦い。だけど、めっちゃ楽しい。

僕は今、このサッカーボールに夢中なんだ。

ホンマに片時も離れたくないくらいサッカーが好きなんだ。

「高橋! パス! パス!」

「……」

ちっ、あいつらにいつもナメられっぱなし……

ここで必ず決めてやる! 

高橋がシュートを放った次の瞬間、ごきっと鈍い音がした。

力み過ぎて地面を思いっきり蹴ってしまったのだ。

あまりの痛さに意識が遠のく……

僕は今、病院にいる。

痛い、痛い。

涙も出る暇もないくらい痛い。

「力也! 大丈夫? どうしてこんなことになったの?」

お母さんの声が足首と耳にも痛かった。