「あとさぁ?」



たった10分の休み時間。


そんなに時間はなかった。


あたしは無駄な体力は使いたくない。


だから、


暴力とかはしない。


そのかわり


言葉で切りつけてやろうと思った。



「なんで、本ばっかり読んでるのに
 バカなの?
 せめてさ~、本読んでるんだから
 国語くらいはいい点数とろうよ。
 母国語だよ?
 ぼーこーくーご。
 日本人なんだからさぁ、
 そのくらいはねぇ?」



恐らく図星だったんだろう。


彼女の目は真っ赤に充血し、


涙を浮かべていた。



「あとさ、
 ノートくらいすっと出せよ。
 出さないからゴミ箱行きになるんだよ。
 学習しまちたかぁ?」



あたしは、そう言い


ユカと坂野を置いて教室へ向かった。


階段を下りる時に坂野を横目で見たけれど


余程ショックだったのか


瞬きもせずに呆然としていた。