彼女の目の奥は酷く濁っていた。


そして、


真っ直ぐと鋭かった。


だけど、


そんなのは何のダメージにもならない。



「あたし達ストレス溜まってんだよね」



あたしはポソッと


坂野にしか聞こえないような声で


囁いた。


その瞬間、


そいつは下唇から血が滲む程


噛んでいた。



「ちょっと良いかな?」



あたしは柔らかくニコリと微笑み


ユカと一緒に坂野を教室から出した。


ぴたぴたとワックスがかかった廊下を


3人で歩く。


きっと、変な光景だ。


共通点のない奴が


1人混ざっているんだから。