「モテるんですね」
「いや俺、フラれたばっかなんですけど」
「アドレス交換した人達の誰かと付き合えばいいんじゃないですか?」
「随分簡単に言ってくれるじゃねぇか」
困り顔の彼は、腕を組んで僕に無理矢理の笑みを向けてくる。
「何人と交換したか知らないですけど、その中に本気で会長を好きな人が居ない、って言い切れないじゃないですか」
「俺は、付き合えれば誰でもいいなんて思うような軽い男じゃありません」
「フラれる程度の軽さはあるんじゃないですか」
「お前……さっきから冷たいぞっ」
冷たい、なんて言われても。
フラれたのもメール地獄もこの人の自業自得だ。
どんな意図があって僕にこんな話をして来るのか分からないだけに、気安く同情するのも良くない気がする。
「お前は彼女いねぇの?」
「いませんよ」
「好きな子は?」
「いません。そもそも、誰が好きとかどうでもいいです」
「なんで?」
間髪入れずに返ってくる質問に、僕は溜め息を1つ零してから口を開いた。


