机に頬杖をついて、会長はペラペラと写真集の頁を捲っていく。


「何か用?」


 視線はずっと本にあるのに、僕の視線に気付いて声を掛けてきた。


「別に、何でもな……──」


 僕がそう言い掛けたとき、賑やかな電子音──携帯の着信音が静かな図書室に響き渡った。


「やべっ、俺だ」


 会長は慌ててポケットから携帯を取り出すと、何やら操作をし始めた。

 そうしているうちにまた着信音が鳴り響いて、僕は溜息と共に本へと視線を戻す。


「図書室ではちゃんとマナーモードにしておいてくださいね」

「ごめんな。うっかりアドレス教えちゃったらひっきりなしにメールが……って、またかよ!」


 ぶつぶつと小さく文句を零しながら、携帯を操作する音が聞こえてくる。

 ちら、と後ろに視線を遣ると、彼は色の明るい髪を片手で掻き上げながら携帯と向き合っていた。

 メール……。