【短編】ぼくはポチ

―え?2階は行ったらダメでしょ?



ぼくはママさんを見る。


「今日はパパには内緒ね?
 行っておいで」


ぼくは階段を駆け上がる。

愛しいミキちゃんの所へ行く。


「ポチ!」


泣き顔じゃない

ミキちゃんの腕の中へ飛び込む。


何が起こったか理解できないけど、

ミキちゃんが幸せそうなのはわかる。


「ポチ、あたし彼と結婚するの。
 彼とずっと一緒にいるの」



―ぼくは…?



「ポチとも一緒。
 ずぅっと!」


階段の下からママさんが大きな声で言う。


「ミキ!たまにはポチ連れて来てね。
 淋しくなるから!」


ママさんの言った事に

ミキちゃんが彼と笑いあう。

ぼくの大好きな笑顔。



もう悲しい顔なんて見たくないよ?