いなくなったキッチンの方を見て愛は小さなため息を吐いた。



一日中、運動してきてどうしてあんなに体力があるのっ?



郁斗に翻弄されたせいで腰が重く、動くのが億劫なくらい。



あのまま眠ってしまっても良かったのに、ちゃんと食べないとダメだってローブを着せられて連れて来られてしまった。



今何時だろうと時計を見ると更にため息が深まる。



11時って……。


こんな時間に食べたら太っちゃう。




「おまたせ」


鍋を持って郁斗が戻ってきた。



「郁斗、あたし――」



「ダメだよ しっかり食べないと」



「だってこんな時間なんだよ?」



「大丈夫、愛は太らないって もっと体重が増えても良いくらいだと思うよ?さあ、食べよう」



皿にチキンの煮込みをよそい、愛の目の前に差し出した。