竜を狩る者

「由羽!」

咄嗟に瑞樹が由羽を押し倒し、そのブレスから守る!

…ブレスとは、竜種が吐き出す吐息の事。

只の息とはいえ、竜種は体内の生成物質によって様々な効果のあるブレスを吐き出す。

一般的に知られる高熱の炎のブレスや、アンフィスバエナの持つ毒のブレス、中にはガルグイユのように高圧の水流そのものを吐き出すものもいる。

そしてアンフィスバエナの吐いた毒のブレスこそ、瑞樹の左眼を奪い、由羽の母親を病弱にさせた元凶であった。

「由羽!落ち着いて!」

「放して瑞樹!」

取り押さえようとする瑞樹をも押し退けようと、腕の中で暴れる由羽。

『復讐は何も生みませんよ』

そう言っていた由羽本人が、本当は母親を蝕んだアンフィスバエナに並々ならぬ憎悪を抱いていた。

(由羽…)

瑞樹は彼女を抱き締める。

その行為に。

「…瑞…樹…?」

徐々に、だが確実に、由羽は冷静さを取り戻していく。

(有り難う由羽…貴女のお陰で、私は復讐だけに囚われずに済みそうよ…)