この大陸に人間が上陸してから、まだほんの数年。

人々は大陸に新天地としての夢と希望を抱き、開拓民として他所の土地から移り住んできた。

まだまともに人間の歩く道さえも整備されていない。

とりあえず開拓民が拠点とする街だけが、広大な大陸の隅に存在する程度だ。

切り出した石のブロックや大木を組み上げて作られた城壁。

その頂上の物見櫓からは、昼夜を問わず鎧を纏った警備兵が監視を続けている。

外から見れば街というよりは砦だ。

城塞都市。

ここが開拓民達の住まう場所。

人智を超えた存在である竜種から生活圏を守る為、全ての人々はこの街で暮らしていた。