竜を狩る者

彼女はそのナイフで、ワイバーンの足の爪を全て取ってしまう。

流石に竜種だけあって、鱗同様に爪も堅牢だ。

あっさりと大型ナイフは刃こぼれしてしまう。

…しかし、目的は果たした。

ギルドの討伐依頼書には、こう書かれてある。

『討伐した証として、獲物の体の一部を持ち帰る事』

つまりワイバーンの体の部位さえ持ち帰れば、討伐と見なされるという事だ。

必ずしも殺す必要はない。

「君は人間を襲った訳でも、街を襲撃した訳でもない。たまたま私と遭遇しただけだもんね」

コウは動きの取れないワイバーンの頭を撫でた後、踵を返して歩き出す。

「毒は一時間もすれば勝手に体から抜けるわ。今回は見逃してあげるから、人間襲ったりしちゃ駄目よ?」

まるで悪戯した子供をたしなめるように。

コウは笑顔でワイバーンに手を振った。