竜を狩る者

これが竜種の竜種たる所以。

生命力、耐久力、共に折り紙付き。

並大抵の攻撃など露ほども感じないほどの強靭さを持ち合わせている。

それが竜種という生物だった。

…新米狩猟者のコウとて、その程度は心得ている。

ワイバーンを討伐すると決めた時から、彼女は竜種の生態についてギルドの蔵書で勉強していた。

だから『只のナイフ』など投げてはいない。

しばし距離を置き、ワイバーンの羽ばたきをやり過ごしていたコウ。

やがて、そのワイバーンの動きに異変が起きる。

「…!!?…」

狼狽するように、闇雲に長い尾や首を動かし、キョロキョロしながら右往左往するワイバーン。

「効いてきた効いてきた」

コウが不敵に笑う。

先程彼女がワイバーンの翼に命中させたナイフには、視神経に作用する毒が塗られていたのだ。

人間ならば失明するほどの猛毒。

しかしワイバーンには一時的に視覚を奪う程度の効果しかないようだった。