竜を狩る者

木陰から走り出し、コウは腰のベルトに手を伸ばす。

彼女の腰のベルトには、大型のナイフが二本、小型の投擲用ナイフが数十本、ホルダーにおさめられている。

その中のうちの、まずは大型ナイフを投擲!

ナイフといっても、その刃幅と厚みは小型の手斧として使えそうなほどのものだ。

投げ放たれたナイフは回転しながら、遠心力を込めてワイバーンの背中に当たる!

しかし。

「っ!」

硬質な音を立てて、ナイフは弾かれた。

硬い!

古来より竜種の鱗は、下手な刃を通さないほどに堅牢と伝えられている。

多くの狩猟者が竜種討伐に大型の武器を使用するのは、切れ味の他に武器の重量で対抗する為なのだ。

コウの大型ナイフだって、命中させれば象をも仕留められる逸品。

コウの腕も相まって強力な武器だ。

だが流石にワイバーンには力不足。

「だったら!」

コウは怯まない。

この程度の事は予測の範疇。

彼女は対竜種戦に備えて、準備を怠ってはいなかった。