白に近い金髪を持つ、中性的な顔の美少年。

サファイア色の宝石のような瞳が、ラムダを見つめる。

「これは失礼。先客がいたんですね」

軽く頭を下げ、掛け湯をしてからラムダは湯に浸かる。

…じんわりと体に染み渡るような温もり。

毒による病に蝕まれた体が、少しずつ甦っていくようだ。

気休めでも、ラムダにはそんな風に感じられた。

少しばかり体を温めた所で。

「君も湯治に?」

ラムダは少年に話しかける。

彼の質問に、おかしな間隔を置いた後。

「……」

少年は頷いた。

少年が耳が聞こえず、読唇術ゆえにおかしな間を置かざるを得なかった事をラムダは知らない。