毒を受けた当時は、余命5年と言われた彼。

しかしこの湯治場の温泉と薬湯による治療で、何とか現在まで命永らえている。

…とはいえ、もう完治は望めないだろう。

こうして日々湯治場に通って、僅かな延命を続けるのがやっと。

いずれ決断しなければ…。

そんな事を思いながら温泉に向かうラムダは。

「!」

湯煙の中、湯の中に肩まで浸かる一人の少年の姿に気づいた。

普段この時間帯に、ラムダ以外の客はいない。

それで少々油断していたのだ。