そんな騒々しい大衆酒場から少し離れた、城塞都市を見下ろす位置にある建物。

ここは湯治場。

危険を伴う狩りを続けていると、時には傷を負う事もある。

ここはそんな狩猟者達が傷の治療と日頃の疲れを癒す為に訪れる場所だ。

…男湯の脱衣所。

20代半ばといった青年が、魔法使いを想起させる緑色のローブを籠の中に入れた。

白い長髪、黒い瞳。

長身は無駄なく鍛え上げられているが、肌はやや蒼白く、華奢な印象を与える。

彼の名はラムダ。

10年ほど前にある竜種の狩りに失敗し、その毒によって病に冒されていた。