フューリーと差し向かいに座り、注文したハンバーグをパクつくノエル。

口の周りにドミグラスソースが付いているのが可愛らしい。

「ノエルも狩猟者?やっぱり竜種討伐が目的?」

頬杖を付き、三杯目の葡萄酒を味わうフューリー。

「はい。狩猟者だったお父さんが、『常に人の為にあれ』と言っていました。私は皆を困らせる竜種をやっつける為に狩りをするんです」

フォーク片手に力説するノエル。

「…狙いはなぁに?」

子供の夢を聞かせてもらうように、柔らかく微笑むフューリー。

「ズバリ、クエレブレです!」

テーブルの上に立ち上がって宣言するノエル。

「クエレブレをやっつけた暁には、海底洞窟に隠し持っているという財宝の山で、ここにいる皆さんに何でも奢るのです!」

「おぉっ!」

「いいぞお嬢ちゃん!」

笑い混じりの歓声が酒場内に起こり、ノエルはその声援に応えている。

「ところで…」

再び丸椅子に座り、ノエルはフューリーの顔を見た。

「おねいさん、武器は?見た所、盾しか持っていないようですが…」

「…そう見える?」

少し酔いが回ってきただろうか。

いい気分のまま、フューリーはテーブルに立てかけた足元の丸い盾を撫でるのだった。