竜を狩る者

それでもムシュマッへは止まらない。

巨体を揺すりながら城塞都市内部へと侵攻していく。

砦を破壊し、建物を崩し、歩を進めるムシュマッへ。

「止まるです!これ以上街を壊すなです!」

ノエルも参戦して、大剣で強烈な一撃を叩き込む!

だが、それはあくまで人間の目から見た話。

ムシュマッへほどの超大型竜種にしてみれば、ノエルの大剣でさえ『強烈』とは言い難い。

「このっ…!」

連続斬りを繰り出し続けた瑞樹にも、いよいよ疲れが見え始めた。

止まらない。

止められない!

どうすればこの竜種の侵攻を止められるのか。

由羽もノエルも歯噛みする。

その時。

「!!」

風を斬るような音と共に飛来してきたのは、一本の縄。

縄は巨樹のようなムシュマッへの四本の脚に絡みつき、その足を縺れさせる!