竜を狩る者

おかしい。

離れた位置でムシュマッへに立ち向かっているラムダとコウ。

だが二人は共に同じ事に疑問を感じていた。

ラムダの矢も、コウの投げナイフも、得物は違えど共通点がある。

二人は武器に毒を塗って使用していた。

竜種の巨体にも効果をもたらす、強力な麻痺毒であったり失明させる毒であったり。

そんな毒を塗った矢やナイフを、もう何発も命中させている。

如何に竜種といえども、効果が表れてもおかしくない筈だ。

なのに…。

「…まさか」

経験の浅いコウはともかく、ラムダはその理由に感づき始めていた。

(あの七つ首の竜…毒に耐性があるのか?或いは自らも体内に毒を持っている?)

…ラムダの見立て通り、ムシュマッへはその体に流れる血液そのものが毒という稀有な竜種であった。

故に外部から毒を受けたところで、何ら効果を発揮する事はないのだ。