竜を狩る者

七つ首がそれぞれ嘶く声が、城塞都市に響き渡る。

「誰かが戦ってるです」

ノエルが振り向き、ムシュマッへの方を見た。

途端に。

「あ!」

コウの目の前で、ノエルは踵を返してムシュマッへに立ち向かっていく。

「ノエルちゃん!」

「頑張ってる人がいるのに、私だけ逃げる訳にはいかないです!」

いつでも他人優先に考える、ノエルらしい言動。

その背中を。

「!」

コウも追いかけて走った。

「コウさん?」

「そういう他人第一な考え方、お姉さん好きだなぁ」

ノエルに向かって微笑みかけるコウ。

新芽の色の瞳が細まった。