竜を狩る者

小柄ながら、ノエルの力は大の男数人がかりにも匹敵する。

あの巨大なムシュマッへの首が押し退けられ、石造りの建物の壁に叩きつけられた!

「大丈夫ですか!さぁ、こっちへ!」

退路を確保し、ノエルはコウと共に路地を走る。

「私コウっていうの!助かったわ!」

「ノエルです!お礼はやっつけた後の方がいいですよ!」

足を止める事なく言葉を交わす二人。

ノエルの一撃にも怯む事なく、ムシュマッへは七本の首をもたげている。

小さな獲物が増えた。

どちらから先に食ってやろうか。

そんな事を思っているのかいないのか。

蛇のような縦長の瞳孔が、二人を見据える。

その瞳孔に。

「!!」

突如突き立てられる矢!

目を潰され、ムシュマッへは激痛に鳴き声を上げた。