竜を狩る者

街中を、巨大な片刃剣が走る。

否、背丈が小さく後ろからはそういう風に見えるが、走っているのはノエルだ。

「あんな大きな竜種、お父さんにも教えてもらった事ないです!」

頬に汗すら浮かべるノエル。

その表情には明らかな動揺が窺える。

彼女の父親が活躍していた大陸開拓黎明期には、まだ存在すら知られていなかったムシュマッへ。

ノエルが教わっていないのも無理はない。

だが、どんな相手であろうと彼女は父の教えを守る。

『常に人の為にあれ』

ならば今は行動の時。

街の人々を、ムシュマッへから守る時!

金髪のおさげを揺らしながら、ノエルは眼前の七つ首の竜種へと接近していった。