ニーズヘッグは口を縛る縄を解こうと暴れる!

如何に強靭な竜の髭でできた縄とはいえ、このままではもたないかもしれない。

「くっ…!」

サンは巧みな縄捌きで一旦ニーズヘッグの口から縄を解いた。

そしてそのまま片手の動きだけで縄を操り、まるで己の手足の如く、弾かれて地面に落ちたままのローゼンの剣を絡め取る。

「受け取れ!」

ローゼンに剣を渡すサン。

「礼は言わんぞ」

そう言いつつも微かに笑みを浮かべ、ローゼンは剣を掴んだ。

これで五分五分に戻った。

再び二刀を構えてニーズヘッグに接近するローゼン!

その動きを眼で追うニーズヘッグだったが。

「!!」

撓る鞭のように、サンの縄がニーズヘッグの両眼を叩く!

反射的に目を閉じてしまうニーズヘッグ。

一時的に視覚を奪われてしまった。