竜を狩る者

竜種の咆哮が通じないとは。

どんな狩猟者でも、強制的に行動不能にされてしまう竜種の咆哮には悩まされる。

これで出鼻を挫かれ、先制攻撃を許してしまうのだ。

その咆哮を無効化してしまうとは。

サンは竜種討伐の為に存在するかのような少年だった。

そんな有利を持つというのに。

「ニーズヘッグ…!」

彼は攻撃に出る事すらせず、目の前の見上げるような巨竜に向かって叫ぶ。

「言葉…理解できるんだろう?…俺は…戦いに来たんじゃない」

決してニーズヘッグに警戒心を与えないように、腰の縄には手をかける事なく。

サンはニーズヘッグに訴える。

「やめよう…ニーズヘッグ…お互いこの大陸に住む種同士…争う事をやめよう…」

真摯に、瞳をそらす事なく、サンは語りかける。

「竜種の領域には…踏み入らない…だから俺達人間にも…大陸の恩恵を少し分け与えて欲しい…俺達は…共存できる筈だ」