片恋★パンドラボックス

「ほんっと信じらんない…」



「奈緒ちゃん。」



「なんでそんな勝手なこと…」



「奈緒ちゃーん。」



「へ?」



でも、パッと顔を上げれば目の前にはあたしのケータイ。



「着信アリ。」



「あっ…」



震えるそれを受け取れば、ディスプレイにはおにーちゃんの名前。



「取れば?」



「ん。」



「取らないの?」



「んー。」



“おにーちゃん”から“拓馬”に変えたそれを優斗の前で取るのはなんだか恥ずかしい。



「………やめとく。」



震え続けるそれを両手で包み込んだあたしは、優斗からチャッピーを取り上げるとそのままギュッと抱きしめた。