「一緒に笹に七夕飾りを飾ろうよ」


やっぱり。
こういうところは可愛いし好きだけど俺を巻き込まないでほしい。
俺はどっちかと言うと影で動かしてた方が好きなんだからな。


「どうかした?」

俺の心境なんて知らない白原さんはキョトンとした顔を見せる。


しょうがないな。これは惚れた方の弱みだよな。


「なんでもないよ。で、その笹はどこにあるの?」


俺が笑顔で答えると白原さんは嬉しそうに頷いて俺の手を取った。


「こっちだよ」


手を繋いだことがないわけじゃないけど、こういうのは正直言うと照れる。



「ミズノ君顔が赤いよ?」


もう。こいつは知ってか知らぬかそういうの聞かないでほしいよ。


「白原さんが手繋いできたからでしょ」


俺は白原さんと付き合ってから変だ。いつもなら飄々とやり過ごせるのに白原さんがいるとどうも調子が狂う。


「あー。また白原さんって言った!
いい加減名前で呼んでよ」


ムゥって頬を膨らませながら怒る仕草は本当に愛くるしくて虐めたくなる。


「嫌だよ。だって呼んだらそんな顔見えなくなるでしょ?」


白原さんの頬を指で突っつくとプシューという具合に空気が抜ける。


「どこに笹があるんだっけ?」


俺が何事もなく聞くと白原さんは顔を赤くしながらも答える。


「学校の屋上…」


「そっ…じゃあ行くよ」


今度は俺が白原さんの手を握り屋上へと向かう。白原さんは下を見ながら歩きだす。


きっと今白原さんの顔真っ赤だろうな。


彼女の姿を見てクスリと笑っていた。