僕は寝室を出て病院の救急センターに電話をした。


どうせうちの一族の経営だ。構うもんか。


「羽竜の本家だが」

生まれて初めて自分の地位がありがたいと思った。

「うちの者がインフルエンザにかかったらしい。早めに誰か寄越してくれないか?」


電話口の向こうでバタバタと音がする。

しばらく待たされて、夜勤開けの医師が行くと言っているがそれでいいかときかれた。


勤務の交代時間はまだ先だろうが、そこまで無理も言えないだろう。


「では、それでお願いする」


電話を切って、僕は寝室に戻った。