龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】

ふと目を上げると、彩名と目が合った。

姉が、声を出さずに口の動きだけで言葉を紡ぐ。


――は・ら・ぐ・ろ


黙れ、彩名。

大きなお世話だ。

志鶴はこれで幸せなんだからいいんだよ。


僕がニイッと笑ってみせると、彩名は呆れたようにため息をついた。


「あっ、ごめんなさい。彩名さん、退屈だった? マンガの続き読む?」



志鶴の的外れな言葉に、僕ら姉弟が吹き出したのは言うまでもない。