「何この説明書、不親切」

こっちに背中を向けてる野宮が、
どうやら薬の箱を見ながら言っている。


「箱の、下の蓋の裏にさ、
 時間が経っても効果が切れない場合は、
 見えるようになる物がお解りになれば
 すぐに戻りますとか書いてるんだけど」

なにそれ、何で説明書に書いてないんだ。


「って事はさ、今?
 今なの?小吹が俺の事信じたの!」

バカヤロー!と、恐らく本心では
ないだろう叫びを上げながら、
毛布ごと、顔を出した僕に抱き着いてきた