透明人間になれる薬【BL】



ふと気が付くと、
僕は野宮に頭を撫でられていた。


「……なあ、どうして
 僕の体の位置が分かるんだ?」

ずっと不思議だった。

「いつも見てるからさ、声聞こえる所から
 この辺りがこうだなって想像してるんだ

 ……そういや小吹今、裸だよね」

舐めるような視線を送られる。


前言また撤回。
やっぱり爆発しないかな。


「ゴメンね、でも見えないから。
 想像だけだから許してよ」

そう言ってまた笑う。



「小吹もさ、俺の事好きじゃない?
 教室でよく目が合ってたよね」

……あれは、偶然か
僕の勘違いじゃなかったのか?

「勘違いじゃないよ。
 俺さ、小吹の目、好きなんだ。
 いや、全部好きだけどね」

だから、見えないのはちょっと寂しい。
早く切れないかな、薬の効果。

そんな事を彼は言った。

そして続けて、

「見えない代わりにさ、キスしていい?」