「……そんな訳ないだろ」 「あるよ、大いにあるよ。 これが事実だよ」 野宮は僕の手に、自分の手を重ね、 繋ぐようにしてそう言った。 ……なんで場所が分かるんだ? 「認めちゃいなよ、嫌われても 無関心でなんかも無いんだって」 「……100歩譲って。 母さんの事は認める。 でも、この、名前は……」 嫌いな相手の名前。 野宮の胸に浮かぶ僕のそれを、指で突き示す。 「嫌いじゃ無いとは認めない」 違うんだったら、なんだよこれ。