「誰も何も、今の僕には見えるんだ。 そいつが嫌っている奴の名前が」 「この薬の見えるようになるっての?」 説明書をぴらぴらさせながら聞く。 「それで俺に小吹の名前が見えるって?」 「そうだ」 「ふーん? 何でそれが、嫌いな相手って解るの?」 説明書に書いてないじゃん。そう言った。 「何でって……だって 野宮は僕の事嫌いだろ?」 理由はそれで十分じゃないか。 「嫌いじゃないよ」 「嘘言うなよ!」 嫌いじゃないなら、じゃあなんで。