インターホンが鳴らされた。

だけど、誰も応えない。

母さんは留守だ。
僕は出られる訳が無い。


じっとしていると、窓が叩かれた。

外を見ると、野宮が立っていた。


……なんでだよ。


「入れてくれないかな?」

まるでそこに僕が居る事を
確信しているように、彼は言った。

……確かにいるけど。


「入れてくれないなら、
 窓から入っちゃうけどいい?」

そう言ってから、ガラッと窓を開けた。


……鍵、閉めておくんだった。