だけど、ただ単に 周りを見ていない担任なだけかも。 ちょっとだけ希望を抱いてみる。 もしかすると、誰がこうでも 気が付かないだけかもしれない。 そう、思ってみた時だった。 「あれ、野宮(のみや)が居ないな?」 「また遅刻じゃないっすかー?」 担任と生徒の、そんな会話が行われる。 ……やっぱり僕だけか。 知ってたけどさ、 誰の目にも映らない事なんか。 ハッ、と息を吐き出した時、 閉められていたドアが勢いよく開いた。