廊下から戻り自分の席に着いた時に何かハッとした。
周りにいる女子達の殺気がする。
こ、コワい…。
「なんか、優衣、睨まれてますよ」
「分かってますよ。怖い」
目を下に向けた。
「怖い?アンタ強いんだから、文句とか言われたらボコしちゃえば?」
簡単に理菜は言うけど、そんな事したら教室にいれなくなるし。
「理菜。王子の名前、ジュンヤって言うんだね」
「アンタ知らなかったの?」
「うん」
「フジキジュンヤだよ。漢字で書くと、藤城純也」
私の机にシャーペンで書いた。
純也さんか…。
「ってか、何で名前知ってるの?」
「常識でーす」
「純也さん…」
呟いてみた。
王子って呼ぶと、私なんかには遥かに手の届かない憧れの人って感じだけど、純也さんって名前で呼ぶと、いつかは手が届きそうな、そんな感じがする。
王子って呼ぶのは今から辞めた。


