「まこと…」


そして、二人は、優しく口付を交わした。


楠の葉が風にごうと揺れて何枚かの葉を散らす。


頼り無い家来だと思っていたが、彼は、逞しく成長していたのだ。


そして、まことは思った。こいつなら、一生家来にしてやっても良いと。



暦の上では立秋も近い、しかし、二人は今日、立夏を迎えた。



               『立夏物語』 End