だってお前には 「中村が居んだろ。」 俺の声が部屋に静かに響く。 それは妙に落ち着きがあった。 「渉…っ。」 それでも、涙を流して俺の服を引っ張ってくる瑞季は何を思ってるんだろうか。 「瑞季も俺と一緒じゃねぇか。お前も居んだろ。中村っつー彼氏がよ。」 でも、傷付いた俺の心は瑞季の事を考える事なんて出来なかった。 瑞季は俺の言葉を聞いて俺の服を掴んでいた手をそっと離す。 それと同時に俺はこの場所に居たくなくて寝室を抜けて家を出る。 ――バタンッ―― 扉が閉じる音が、妙に静かに響いた。