「それは俺も一緒だぞ?俺も瑞季の昔を知らねぇ。


ぜってぇ俺より瑞季と昔、関わってきた奴等の方が瑞季の昔を知ってると思うぞ?」




瑞季が唇を噛み締める。



何をそんなに我慢してんだよ。


分かんねぇ…。



亜美が昔の俺の事を瑞季より知ってんのがそんなに嫌な事か?



ふう、と息を吐いて瑞季を見る。




すると、号泣しそうな顔をしていて。



焦った。



そこで、一生懸命瑞季が泣きそうな理由を考えて一つだけ、思い浮かぶものがあった。



…まさか。



でも、これしか思い付かねぇ。



そう思いながらも口を開く。



……………顔がにやける。


これしかねぇだろ。






「瑞季……………




それ、妬いてんの?」



「…っ、」





瑞季の顔が一気に赤くなる。




それによって俺の顔も赤くなる。




当たりだ。




瑞季、亜美と話してた俺に嫉妬してたんだな。




「ははっ。」



「わ、笑わないでよ!」



「可愛ぃ。」



「…っ、」




まだ目の縁に涙を溜めている瑞季を抱き寄せる。




――…あぁ、愛しい。